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柴田玉樹(博多曲物)

博多曲物第十八代、柴田玉樹です。曲物の材料である杉の木を円型にする作業をしています。

Last Updated on 2021年9月9日 by craftsofhakata

柴田玉樹 自然の恵みをいただいて木の温もりと美しさを伝える

博多曲物 十八代柴田玉樹のプロフィール

種類: 博多曲物 (福岡県知事指定特産民工芸品)

名前: 十八代 柴田玉樹

ブランド名: 博多曲物 玉樹

経歴など
1961年 福岡市東区馬出生まれ
1981年 筑紫女学園短期大学卒業後 曲物づくりに本格的に取り組む
1996年 17代目柴田玉樹(父)の死去に伴い屋号も「博多曲物 玉樹」に改め工房を糟屋郡志免町に移す
1997年 第39回日本民芸公募展 入選
1998年 第40回日本民芸公募展 入選
1999年 第41回日本民芸公募展 入賞
2007年 18代目柴田玉樹(雅号)として襲名
2014年 第16回福岡デザインアワード 入賞
2015年 第55回全国推奨観光土産品審査会日本商工会議所会頭 努力賞
2016年 福岡市技能功労者表彰
2017年 福岡県優秀技能者表彰
2018年 第20回福岡デザインアワード 金賞
2019年 博多マイスター認定

1961年 福岡市東区馬出、創業400年以上の老舗の生まれ。

幼少の頃より父を手伝い、平成8年、17代目柴田玉樹(父)の没後、18代目として家業を継ぎました。東京・京都などで個展を開くなど、伝統の技を守りながら現代の生活様式にもマッチした曲物の開発・普及に努めています。

また、ジャンルを問わずコラボレートし、伝統工芸へのイメージ改革を行うと共に海外展開も積極的に取り組んでいます。

「博多町家ふるさと館」(福岡市博多区冷泉町)で週に一度(木曜日)実演を行っています。

博多伝統手職人連盟会員
福岡民芸協会会員
福岡文化連盟会員
㈳九州の女会員
はかた国際工芸協会 会員

好きなこと、趣味: 浜田省吾(ファン歴40年)、ファミリーバドミントン

四百年以上続く博多曲物師

初代吉右衛門(1600年慶長5年没)から代々続く博多曲物師の家庭に、姉、弟の3人姉弟の次女として生まれました。生まれ育ったのは平安時代に創建された日本三大八幡宮、筥崎宮の近くです。

江戸時代の儒学者・貝原益軒の「筑前国続風土記」には、筥崎宮周辺に祭具や日用品を作る曲物職人が多く住んでいたことが記されています。

子どもの頃から、先代である父親の曲物作りを手伝ってきました。曲物は家内手工業、「女は嫁に行くまで手伝うもの」当時は家業の手伝いをすることが当たり前の時代で、絵付けや桜皮の綴じを任され、父親が一生懸命に曲物を作る後姿を見ながら育ちました。

家業である博多曲物を継ぐ

曲物作りの名人と言われた父は、1995年、私が35歳の時に肺がんで他界しました。通常であれば長男が家業を継ぐのですが、弟は別の道を歩むことを選びました。

このままでは博多曲物師が途絶えてしまいます。「ここで止めるわけにはいかない」十七代続いてきた家業の重さと、二十歳のころから本格的に修行してきた自負が家業を継ぐことを決めました。

四百年の歴史の中で唯一の女性博多曲物師

過去四百年間、女性の博多曲物師はいませんでした。父の四十九日の法要の時に、一輪差を引出物としてだし「ここまで作りきるとやったらよかろう。」と親戚一同から認められました。それでも世間では女が曲物作りを出来るのか誰もが半信半疑で、材料の仕入れもままなりませんでした。

負けん気がもちあがり男だからとか女だからとか関係ない、名人の父の名に恥じない作品を作ろうと心に決め、一日一日、コツコツと腕を磨いていきました。

継いだ当初は茶道具に力を入れ、京都のギャラリーで毎年展示会を行い「玉樹」の名を知ってもらうことから始めました。

日本民藝展の入賞や京都の漆絵作家との共同制作、展示会など意欲的に活動を続け、2007年には、柴田家18代「柴田玉樹」を襲名させていただきました。

「石の上にも三年」と言われますが、職人として名のりをあげて認められるのに「石の上にも十年」の年月がかかりました。

博多曲物の魅力

四百年の歴史と伝統がある曲物は主に器で、弁当箱などは口に入るものを作るのですから、釘や金属は一切用いず、杉、桜の皮といった自然の材料だけでひとつひとつ丁寧に作っています。

木目を生かし、美しい曲線、そして軽さが曲物の特徴です。素材となる杉の木材選びは、妥協せず納得がいくまで選び抜きます。「無節正目」の良質な国産の杉を使用します。

木目の美しさとやわらかい杉の手触りや香りは、心も癒してくれます。また、杉の木は抗菌効果、吸水性、保湿性が優れていて、ご飯のおいしさを長く保ちます。

お手入れ次第で耐用年数は50年にもなります。曲物は、昔の人の知恵が結集した、使う人の身体にも、そして環境にも優しい工芸品です。

四十年ほど使った飯櫃の修理を受けたことがあります。先代の作った飯櫃です。修理をしてまたお客様に喜んで使っていただけるのは職人にとって嬉しいことです。

お茶会を開いて曲物が場を盛り上げたと感謝の手紙をいただいたこともあります。お客様の喜びが、良いものをしっかり作っていこうとの活力になります。

伝統工芸品とは

伝統工芸品は、主な部分が手仕事で、技術を学び向上させて継いだものです。一人よがりで自分勝手にいいものを作るのではなく、使っていただける人のことを考え作っていくのが伝統工芸品だと思っています。

伝統工芸というと構えてしまいますが、曲物は日常生活に根付いた民芸品でもあります。お使いいただく方の気持ちを考えたものでなければいけません。

自分の代だけで終わらせるだけでなく、その技術を継承していくことが次の世代に残していくために大事なことだとも考えています。後継者育成も役目の一つです。

二人の息子がいますが、曲物作りを手伝ってくれています。今、私が作っているものは、次の世代には古いものになります。技術を継承し、新しい発想でその時代に合うものを作っていってほしい。それが曲物という伝統を継承していくことになると信じています。

将来、博多曲物師になりたい、家業を受け継ぎたいと自ら決めてもらえるように背中をみせてがんばっています。

曲物作りは、一つ一つの作業を的確に行わないと美しい作品はできません。二百年以上かけて育った木から大切な命をいただき、四百年続いた技で命を吹き込みます。

全てが真剣勝負です。これからも曲物作りに励んでいきます。