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「同じだけど同じじゃない」-工芸のすゝめ

宮嶋美紀が制作した博多織の博多帯、八寸なごや帯「九献上 赤い宝」です。

Last Updated on 2021年9月9日 by craftsofhakata

土地ごとに味が異なる醤油や味噌

生活する中で特に意識されることは少ないかもしれませんが「同じだけど同じじゃない」というものは結構あると思います。

例えばお醤油やお味噌。日本に住んでいるならばほぼ誰もが口にしたことがあるし日本各地で生産されているものですが、味は同じではないですね。

私は生まれも育ちも福岡なので実感としてはあまりないけれど、他県に住む友人は九州福岡の物産展があるときには九州の醤油を買い求めてしまうようです。同じように、生まれ育った土地の醤油味噌の味が好みだという方も多いのではないでしょうか。

その由来などとても複雑で私が追いかけられるものではありませんが、これまで変化を重ね今もまだ進化し続けています。

どうやらその土地で手に入りやすい材料を用いてその地域の食文化に合うように作られてきたようです。製法もその土地ごとに醸造所ごとに製法が違うこともあるのかもしれません。だから同じ「醤油」「味噌」であっても味や用途が違ってくるのでしょう。

織物も各地域で作られてきた

これは博多織も博多人形も同じだと思います。博多織はひとつの絹織物で、博多人形はひとつの素焼きの土人形。日本全国そして世界にも同じようなものはあります。

博多織は着物の帯をメインとして生産していますが、同じタイプの帯を作る他産地の製品となかなか区別をつけづらいかもしれず、産地組合の発行する証紙頼みになってしまうのかもしれません。だけど、そういうものではないかと思います。

博多織を織り機を使って織っているところです。縦糸と横糸を交差させて織っています。

織物の構造はたて糸とよこ糸を交差させること。ただそれだけです。でも!その組み合わせは無限にできます。

どういう素材を選ぶのか、その素材をどのように加工するのか、糸の張り具合は、糸の密度は、、、と、決めていくことでどのようなものでも作ることができると私は思っています。

その土地の歴史文化を知ってわかること

ポイントはどのような布を作りたいかだけ。やわらかい布かしっかりした布か、何のために使う布なのかなど。

寒い土地だったらあたたかい生地を、暑い土地なら涼しくいられる生地を人は必要とするものだから。そうやって各地域の織物は生まれ作られてきたと思います。

材料は同じでもその土地の気候風土、歴史文化で製法やものの位置づけが変わってくることがあります。生活に必要とされる理由があり生きるための仕事となり、地域で分業化し産地を形成し産業となり作り続けられてきた。

「醤油」や「味噌」もその土地の料理に合ったものとして人々に必要とされてきた。そういうものではないかと思います。

だから私は博多織の説明をするときには「その土地を歩いてその土地の歴史文化を知ってください」と付け加えるようにしています。

ものというのはそれだけを見ていてもわかりにくい。ものは人が生み出し作り続けてきたものだから、生み出した故郷(土地・人)を感じてほしい。それでやっとわかることも面白いんじゃないかと思ったりします。

技術により違いが生み出される

最後にきちんとお伝えしておかなければならないことがあります。「同じだけど同じじゃない」ことをはっきり分けるのは技術です。それについてはまた次の機会にお話しさせていただこうと思います。

文中で引き合いに出した博多人形についてもその素晴らしさを伝えていこうと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

博多織を制作している宮嶋美紀

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博多織手織技能修士。ton ten ton 代表。はかた国際工芸協会代表。福岡県生まれ。2013年 博多織デベロップメントカレッジ卒業。2014年「第112回博多織求評会」で経済産業大臣賞、2016年 「第60回 新作博多織展」で九州経済産業局長賞など受賞多数。海外アパレルブランドとのコラボやフランス・パリで開催されたジャパンエキスポ2018への出展など活動の幅を広げています。