最終更新日: 2023年1月27日
こんにちは。博多伝統工芸品オンラインショップ Crafts of Hakata 店長のタナカです。
ひな祭りは、女の子の成長と健康、幸せを祈り、お祝いする行事です。毎年3月3日に行われ、桃の節句とも言われています。現代になって、求められる雛人形も昔と変わってきました。
ここでは、ひな祭りの歴史や意味、ひな祭りで飾る雛人形について説明し、最後に伝統工芸品である博多人形のコンパクトでかわいい雛人形をご紹介します。
ひな祭りが桃の節句と言われるのはなぜ?

ひな祭りは別名、桃の節句とも言われます。
節句とは?
節句(せっく)とは、季節の節目となる日、または年中行事のことを言います。陰陽五行説が由来とされる風習で、奈良時代のころ中国から伝わりました。農作物が無事に育つよう季節の食べ物をお供えし神事を行うなど、日本の文化や生活に溶け込み定着しました。
年間にわたり様々な節句がありましたが、江戸時代に祝日と決めた次の五節句が今に残っています。
1月7日 七草の節句・人日(じんじつ)の節句
3月3日 桃の節句・ひな祭り・上巳(じょうし)の節句
5月5日 菖蒲の節句・尚武の節句・端午の節句
7月7日 星祭り・七夕の節句・笹竹の節句
9月9日 菊の節句・重陽の節句
節句は中国で陽の数として縁起が良いとされる奇数の月、月と同じ数の日が選ばれています。(1月1日は元日で例外。)
旧暦3月3日は桃の花のシーズン
また、節句には七草、菖蒲、笹竹、菊と季節の植物の名が付けられています。
ひな祭りがかつて行われていた旧暦の3月3日は、今の新暦で4月3日です。この頃はちょうど桃の花が野山や田畑にたくさん咲きほこる時期なので桃の節句と名付けられました。また、桃の花には邪気を祓う魔除けの力があると信じられていたため、ひな祭りに飾られるようになったと言われています。
雛人形を飾る意味はなぜ?

雛人形の「雛・ひな」には小さいという意味があります。平安時代の頃、貴族の女性の間で小さい人形を使った人形遊び「雛遊び」がありました。江戸時代になり、雛遊びと桃の節句が一緒になって雛人形を飾るようになったと言われています。
雛流しがひな祭りの由来
同じ平安時代には、子女の病気や怪我、厄、邪気を人形に肩代わりさせ、春の時期に川流す「流し雛・雛流し」の風習がありました。人形が人間の身がわりになってくれるという考えです。これがひな祭りの由来とも言われています。
ひな祭りは江戸時代に庶民にも広まりましたが、高価な雛人形は貴族や武家に限られました。庶民は安価な土人形などを飾りお祝いしたようです。そして、時代とともに雛人形はより手が込んで作られるようになり、雛流しではなく、家に飾るようになりました。
雛人形を飾ることによって、女の子の成長をお祝いするとともに、災厄から守り、健康に成長して幸せになって欲しいという願いが込められています。
雛人形の飾り方
雛人形の飾り方には主に次の5つがあります。
(1) 七段飾り

階段状に七段になった飾り台に、道具類が飾られるもっとも豪華な飾り方です。15人の人形からなるので十五飾りとも呼ばれます。
一段目:男雛(お殿様)と女雛(お姫様)
二段目:三人官女(さんにんかんじょ) お姫様に仕える三名の女性
三段目:五人囃子(ごにんばやし)楽器の演者と謡い手の五名の男の子
四段目:随身(ずいじん)男雛と女雛を守る右大臣と左大臣
五段目:仕丁(しちょう)宮廷の雑用係
六段目:嫁入道具揃(よめいりどうぐぞろい)箪笥、鏡台、茶道具など
七段目:御輿入れ道具(おこしいれどうぐ)お駕籠、重箱、牛車
男雛と女雛の位置は、地域によって異なります。関東雛や日本の多くの地域では、男雛を向かって左、女雛を右に飾ります。京都雛はこの逆で、男雛を向かって右、女雛を左に飾ります。
古来、日本では右よりも左が尊いとされていました。雛人形もそれにならい、向かって右に男雛、左に女雛を飾りました。明治時代になって西洋化が取り入れられ、大正天皇が即位の礼の際に右側にお立ちになられたことから雛人形の飾り方も変わったと言われています。
(2) 三段飾り
一段目:男雛と女雛
二段目:三人官女
三段目:御輿入れ道具
三段目を五人囃子にするものや嫁入道具が入るものもあります。
(3) 親王飾り

男雛と女雛だけの雛人形で二人飾りとも呼ばれます。七段飾り、三段飾りに比べると場所を取らないため現代風です。
博多人形(緒方恵子作)の親王飾り 愛楽雛(男雛 白) を見る
立ち雛と呼ばれる男雛、女雛とも立った姿の人形もあります。雛人形はもともと立ち雛から始まったと言われています。
(4) 収納飾り
飾り台が雛人形の収納箱になっています。親王飾り、三段飾りのものがあります。飾りやすく片付けやすいので扱いやすいです。
(5) ケース飾り
ガラスやアクリルのケース中に人形が飾られているタイプで親王飾り、五人飾りがあります。ケース内に人形や道具が固定されているため埃がつかず、また人形の出し入れが不要です。
雛人形を出す、飾る、片付けるタイミングは?
雛人形を飾るのは豆撒きが終わってから
雛人形をいつ出して飾るかですが、一般的なのは立春(2月4日ころ)から2月中旬にかけてです。立春は2月3日の節分の翌日ですので、豆撒きをしたら次の日に雛人形を飾り付けしましょう。
二十四節気(にじゅうしせっき)の雨水(うすい)が始まる2月19日頃に飾ると良縁を得たり運が開けると言われます。雨水は雪が雨に変わり雪解けが始まる頃のことです。
遅くても前日の3月2日に飾るのはやめましょう。正月飾りでも避ける一夜飾りになり、縁起がよくありません。急なこしらえで神様に失礼で誠意に欠けるのと弔事を連想させるためです。
雛人形を4月3日以降に片づけるところもあります
雛人形を片付けるのはひな祭りが過ぎた、湿気の少ない好天の時が良いとされています。
しかし、旧暦の3月3日、つまり今の新暦の4月3日まで飾る地方(関西や九州)もあります。地域や各家庭によって変わってきます。
雛人形を飾るのは何歳になるまで?
雛人形を飾る年齢は特に決まりはありません。成人してからも飾られたり、結婚するまでと決めている家庭もあります。
各ご家庭のルールで決めてよいでしょう。
雛人形を飾る場所
和室の床間やリビングなど、女の子を見守ってくれる場所に飾りましょう。
直射日光が当たるところやエアコンの風が吹き付ける場所は人形が傷んでしまうので避けましょう。
柳川雛祭り さげもんめぐり
博多伝統工芸品オンラインショップが取り扱う工芸品がある福岡県には、柳川というひな祭りで有名な市があります。毎年、2月11日から4月3日まで「柳川雛祭り さげもんめぐり」が開催されます。お雛様行列、お雛様水上パレード、流し雛祭などが行われ、とても人気がありたくさんの人出でにぎわいます。
色鮮やかな柳川の風習「さげもん」

「さげもん」は吊るし飾りで、柳川の独特な風習です。飾りとなるのは、布で作ったうさぎ、鶴、桃、人形、金魚、鞠など51個からなります。
これらの飾りを8本の紐で吊り下げます。
たくさんのさげもんが飾られる柳川の雛人形はとても色鮮やかで、まるで自分が雛人形になったのではと錯覚してしまうほどです。
雛人形は、コンパクトでかわいいものがおすすめ

現在では、住宅事情から七段飾りなど大きな雛人形を飾る家庭が少なくなってきています。また、忙しいライフスタイルもあって、雛人形を出したりしまったり、お手入れするのも極力少なくしたいところではないでしょうか。
そのため、飾るスペースや保管場所に困らず、お手入れも楽なコンパクトな雛人形が人気になってきています。
またインテリアやリビングにマッチする雛人形として、お雛様の表情やデザインも古風な感じからモダンで可愛らしいものも好まれるようになっています。
伝統工芸品の雛人形で子どもの成長を願います


博多伝統工芸品オンラインショップでは、コンパクトで可愛らしい雛人形を取り扱っています。伝統工芸品である博多人形、垣内敬一人形の雛人形で、すべてハンドメイド品です。素焼きの人形に色を施していますので、土のぬくもりが感じられる優しい雰囲気が伝わってきます。
子どもの成長を願う桃の節句、ひな祭り。大事なお子様のために、かわいい雛人形をぜひご検討されてみてはいかがでしょうか。
おすすめのコンパクトでかわいい雛人形
この記事を書いた人

田中 真
博多伝統工芸品オンラインショップ Crafts of Hakata の店長です。工房&工芸品ショップめぐり、旅行が大好きです。ユーラシア大陸横断、世界一周など訪れた国は50ヶ国以上。はかた伝統工芸館企画委員、はかた国際工芸協会事務局。代表をつとめる(株)トリップインサイトでは工房を訪れるツアーを企画催行しています。